モハメド・A・カタリー氏とアフマド・サラフディン氏
胃潰瘍は、臨床診療で最も多くみられる消化器疾患です。ザクロジュースに含まれるプニカラギン(PCG)には、抗酸化作用と組織修復作用があります。そこで本研究では、エタノール誘発性胃損傷に対するプニカラギンの胃保護作用を調査することを目的にしました。ラットは4群に分けられ、第1群は対照群、第2群: 無水エタノール(5 ml/kg、経口)を投与、第3群: ラットはエタノール投与前にラニチジン(参照薬として)(50 mg/kg、経口)で前処理、第4群: エタノール投与前にPCG(4 mg/kg、経口)で前処理しました。PCG前処理により、抗酸化活性は上昇しましたが、潰瘍指数と組織病理学的変化、エタノール誘発性酸化ストレスが減少しました。 TNF-α、インターロイキン(IL-1β)、インターフェロンガンマ(IFNγ)の阻害により、粘膜のIL-10濃度が上昇しました。また、粘膜の核因子κB(NFκB)タンパク質発現、ミロペキシダーゼおよびカスパーゼ3活性、カスパーゼ9遺伝子発現を低下させ、抗アポトーシスB細胞リンパ腫2(Bcl-2)遺伝子発現、粘膜一酸化窒素およびムチン含有量を上昇させました。しかし、プロスタグランジンE2および酸分泌に対してはマイナスの作用を示しました。これらの知見は、NFκB経路による粘膜酸化ストレスおよび炎症の抑制、ならびにプロスタグランジンE2および酸分泌に依存しない細胞保護防御を介した、エタノール誘発性胃潰瘍に対するプニカラギンの胃保護効果を示しています。