スティーブン・ソルシャー
腫瘍または循環遊離 (cf) DNA の大規模パネル次世代シーケンシング (NGS) は、標準的な治療後に癌が進行した場合によく使用されます。このような NGS は、標的または対処可能な分子異常を特定することを目的として、腫瘍の 1 つ以上の数百の遺伝子の体細胞ゲノム変化の存在を評価するために行われます。
大腸がんの場合、ほぼすべての症例で、いくつかのミスマッチ修復遺伝子のうちの 1 つが腫瘍で発現していないかどうか (dMMR) を定期的に検査することが推奨されており、免疫組織化学 (IHC) を使用して行われるのが一般的です。最近、FDA は dMMR を示す固形腫瘍に対するチェックポイント阻害剤の使用を迅速承認したため、大腸がん以外のがんにおける MMR 発現の定期的な検査が期待されています。また、腫瘍組織または循環 cf DNA の NGS を実行すると、dMMR 腫瘍では、通常、MMR が豊富な腫瘍 (pMMR) で見られるよりも、潜在的に対処可能な体細胞ドライバー変異が多く見られます。
ここでは、大腸がんに 70 個の体細胞変異が認められたリンチ症候群の患者について報告します。PD1 阻害剤療法に対する反応が長期間続いた後、液体生検で再び腫瘍循環 cf DNA に多数の変異が認められました。報告された BRCA2 変異対立遺伝子頻度 (MAF) が非常に高いことから、この患者には PARP 阻害剤療法が有益である可能性があることが示唆されました。
この症例は、dMMR 腫瘍の患者は、現在 NGS で特定されている多くの変異を特徴的に示しているため、dMMR (または MSI-H) 腫瘍の患者は、高度に標的化された治療に反応する可能性のある分子の異常を特定するために、腫瘍の NGS から特に恩恵を受ける可能性があることを示しています。dMMR 腫瘍の患者はチェックポイント阻害剤療法の使用により長生きするため、腫瘍のリアルタイム NGS により、チェックポイント阻害剤の投与期間中に獲得した分子の異常を特定できる可能性も期待できます。